2004 年 26 巻 7 号 p. 664-669
機器の信頼性が向上してきたため,人間の信頼性や安全性阻害の行動が目立つようになってきた.近年の自動化技術や安全技術,警報装置などは,人間の行動を支援し,安全性を確保するために発展してきた技術だが,それらが過度に浸透すると,かえって人間の過信や信頼性の低下,危険認識の希薄などを引き起こす可能性がある.構造設計などの設計上の対策による受動的な安全確保だけではなく,ユーザ自身が安全に製品を使いこなし適応的に安全を獲得できることが望ましい.そのためにはどのような設計思想が必要かを考えてみる.