日本信頼性学会誌 信頼性
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最近の燃料電池開発動向と信頼性(<特集>明日のエネルギーシステムと信頼性)
渡辺 隆夫
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2007 年 29 巻 8 号 p. 512-523

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抄録

燃料電池は電気化学反応による発電装置であり,発電効率が高く,環境に影響を与える排出物もほとんど出ないことなどから,近年の地球温暖化問題への対応策の一つとして,大きな注目を集めている.特に家庭用,自動車用,携帯用などの分野で,大規模な開発・実証が進んでいるが,これは80℃前後で作動する固体高分子形燃料電池を用いたものであり,ここ10年で急速に技術進展してきている.しかし燃料電池自体の開発は我が国では1970年代から進められおり,一般に知られるようになったのは最近のことである.燃料電池には固体高分子形の他にも,作動温度のより高い種類がいくつかあり,固体酸化物形燃料電池では最も高いもので1,000℃レベルにまで及んでいる.これらは電気化学反応に関与するイオンを通す電解質の違いによるものである.このような高温型燃料電池発電システムでは高品質な排熱を利用するガスタービンと組み合わせるハイブリッド発電システムも開発されつつあり,より高効率な定置用発電装置として期待されている.いずれの燃料電池も現在の開発の中心は,コスト低減に加えて信頼性の向上に移りつつあり,その主要な課題は電池寿命の延伸である.

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© 2007 日本信頼性学会
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