2011 年 33 巻 6 号 p. 311-315
労働安全衛生法が昭和47年(1972年)に制定されてから,国内では労働災害は長期的に見ると減少し続けている.しかし,重大災害は昭和60年(1985年)以来増加傾向である.そのため重大災害の減少の実現のためには,国際標準に基づく安全の考え方が必要であるとの認識が広がり,2006年4月に改正労働安全衛生法が施行され,リスクアセスメントと,リスクアセスメントの結果に基づいた安全方策の実施が努力義務化された.これは,国際標準に基づいた安全対策が法律の中でも求められるようになったことを意味する.しかし,日本国内では,安全に関する教育を教育機関で系統的に行っていない.そのため,企業に就職して初めて安全に対して取り組むことになるのである.我々は,トップダウンで安全技術者の育成,社内の安全文化の浸透を主導している.これらの活動を紹介する.