2012 年 34 巻 2 号 p. 139-148
移動中の船舶内で地上ディジタル放送が安定して視聴できれば,防災面はもとより情報収集面における利便性は格段に向上する.今回,初めての試みとして,広島-松山間を航行中の船舶を利用して,安定に電波を受信する手法及び船内での再送信技術を確立するための調査を行った.その結果,地形による予想外の受信不能区聞かあること,隣接チャネル妨害や海面反射等による受信電界強度の大幅なレベル変動が電波の質を大きく劣化させること等が判明した.そこで,これらについて検討・対策を実施し,ハイビジョン受信については,船体による遮蔽や受信電界強度に応じた受信アンテナの選択・使用等により全航路の90%で受信が可能となった(改善前は20%).またワンセグ受信については船内での再送信により全区間及び全船内で受信可能となった(改善前は40%).