2012 年 34 巻 2 号 p. 149-154
日本の地上デジタルテレビジョン放送は2003年12月に3大都市圏で始まり,2011年7月には東北3県を除く地域においてアナログ放送が終了し,完全デジタル化した.この日本の地上デジタル放送は,家庭で視聴することを主とするハイビジョン放送と携帯端末向けのワンセグサービスを同一チャンネルで同時に放送できることが大きな特徴となっている.移動受信時にはワンセグサービスの受信が適しているが,車載端末のモニタの大型化が進む中で,固定受信向けのハイビジョン放送を移動体でも安定して受信できることが求められ,研究開発を行った.ここでは,本放送として始まっている地上デジタル放送の送信側のパラメータを変更することなく,ハイビジョン移動受信のエリアを受信側の改善のみで拡大する方法とその計算機シミュレーションによる結果について解説する.