2013 年 35 巻 2 号 p. 89-97
2000年代以降,いわゆる団塊の世代の定年退職などにより,多くの企業では,技術の伝承が十分になされないまま現在に至っているようである.一方,昨今,社会を揺るがす事件・事故が後を絶たず,それらの一因とされるシステムを構成する電子機器,さらには,デバイスの不具合を未然に防止することが不可欠となってきている.このような状況下では,企業におけるプロダクトの長期信頼性を図る取り組みが不可欠であり,特に,信頼性技術者の教育・人材育成が急務である.本稿では,各種システムや電子機器に搭載される発光デバイスを例にとり,信頼性と教育・人材育成について議論する.まず,発光デバイスの開発と信頼性研究の歴史を紹介し,次いで,発光デバイスの劣化モードおよび劣化解析技術について概説する.さらに,信頼性に関してデバイスメーカー,機器メーカーにおける現状課題について述べた後,今後必要な取り組みを,大学,企業,学会,国および各種協会の各々の立場で議論する.