日本信頼性学会誌 信頼性
Online ISSN : 2424-2543
Print ISSN : 0919-2697
ISSN-L : 0919-2697
携帯電話無線基地局送信機の低消費電力化技術(<特集>通信ネットワーク高信頼化の今後の動向-通信ネットワークの運用,監視,制御の技術を軸に-)
馬庭 透
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 36 巻 7 号 p. 439-444

詳細
抄録

携帯電話基地局用の無線送信機における低消費電力化に関する回路技術や増幅素子の変遷について紹介する.第2世代携帯電話システムから基地局送信機は複数のキャリアを合成した後に増幅する共通増幅方式が用いられている.第2世代では隣接チャネル漏洩電力規格が厳しく,消費電力よりも線形性が重視された.その後,第3世代携帯電話システムになり通信容量が増えると使用する電力も増加し,基地局送信機の低消費電力化が課題となった.新たな線形化増幅技術の導入,信号のピーク電力抑圧などの結果,基地局送信機の送信電力効率は第2世代と比較して2倍以上向上した.その後,増幅回路として低振幅時にも電力効率が高い回路構成が使われ,増幅素子も高性能化し,送信電力効率は更に改善した.その結果,発熱が少なくなり空冷ファンなしで放熱が可能になると送信機の小型軽量化が実現でき,当初基地局装置内に納めていた送信機を含む無線装置部分を現在ではアンテナ直下に配置できるようになっている.また,装置設置の自由度向上のため,更なる低消費電力化技術の研究も行われている.

著者関連情報
© 2014 日本信頼性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top