2015 年 37 巻 5 号 p. 258-261
多くの国で操船シミュレータが導入され,操船シミュレータを用いた訓練が数多く行われており,海事関係者の間では,操船シミュレータ訓練が操船技術や安全運航の向上に効果のあることは認識されている.一方,操船シミュレータ訓練の効果の検証を試みた研究者はいるものの,操船シミュレータ訓練の効果が訓練実施後一定期間持続するかどうかについては明らかでない.このような状況にかんがみ,一定期間以前に操船シミュレータ訓練を受けた船長及び航海士を対象として調査(質問票記入及びヒアリング)を実施した.本調査の結果,船長及び航海士の大半が操船シミュレータ訓練の有効性を認めており,同訓練を定期的に継続して受けるべきとの意見を持つに至っている.さらに,調査手法についても知見を得た.この種の調査はこれまで行われたことがほとんどなく,データとしても貴重であると考えられることから,本調査結果について報告する.