日本信頼性学会誌 信頼性
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クリーンな酸化技術によるハロゲンフリー封止剤製造
今 喜裕
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2019 年 41 巻 4 号 p. 227-232

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抄録

電子機器に搭載される LSI の信頼性向上に向け,被覆する封止材の視点から改善手法を模索した最近の成果を紹介する.封止材に塩素などハロゲンが多量に含まれると,ボンディングワイヤを腐食し回路の短絡など製品寿命の短期化を招くことから,封止材の原料をハロゲンフリーに製造する技術が必要となる.しかし,ハロゲンフリーな原料を製造する場合,既存の高効率製造法が存在しないため,新たな合成ルート・触媒反応を確立しなければならない.本稿ではハロゲンフリーな封止材の原料であるエポキシ化合物の高効率合成について述べたのち,合成したエポキシ化合物と硬化剤との複合化による封止材の作成と長期絶縁信頼性試験について紹介する.本技術にて作成されたハロゲンフリーな封止材が長期絶縁信頼性試験において良好な結果を示していることから,LSI の信頼性向上へ向けた方策として,ハロゲンフリーな封止材の活用が有効な選択肢の一つになると考えている.

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© 2019 日本信頼性学会
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