2013 年 51 巻 1 号 p. 61-72
本研究では,1人の対象児を中心に4歳児クラスの1年間を分析し,幼児の自己調整能力の発達の過程を描き出し,検討することを目的とした。エピソードの分析の結果,1人の幼児が他者視点の理解を進め,自己調整能力をより発達させていく具体的な過程が描き出された。そして,その過程には"対立しつつ支えてくれる他者"のかかわりがあることが示された。また,「かかわりの歴史」「クラス規範の創出と共有」「集団の一員としての理解」を特徴とする4歳児クラスの集団化過程が影響している可能性が示唆された。