2016 年 54 巻 2 号 p. 61-70
本稿は,筆者が保育実践者の立場で経験した障害児保育における女児 F の事例を記述し考察したものである。まず,F の思いを推察できず葛藤したことやいかに気持ちを読みほぐしたかをたどる。本稿の目的は,障害児保育において応答的・相互主体的に織りなす保育の実現の可能性を提示することである。
筆者は F の育ちを願い,関わり続けた。根気よく関わり続けたら望む変容があると考えていたのだが,複数の子どもたちのいる保育の場の充実こそが個々の子どもの成長支援につながることに気づいた。このような保育の場で葛藤を経験しながら,応答的・相互主体的な保育が実現していくことがわかった。