保育学研究
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原著<論文>
幼児期の豊かな数感覚につながる経験と保育者の援助を考える
―5歳児の概念的サビタイジングの実態分析を通して―
中橋 葵岡部 恭幸
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2019 年 57 巻 1 号 p. 6-16

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抄録

本論文は概念的サビタイジング(数の集合を「全体」や集合を構成する「部分」として瞬時に認識する過程)に着目する。概念的サビタイジングは幼児期の多様な経験と就学後の学びとのつながりの観点から重要であると考えられるが,その実態は十分に明らかにされていない。そこで5歳児の概念的サビタイジングの実態分析を行った結果,小さな数(1〜3)のサビタイジング(数学的プロセスを伴うことなく瞬時に個数を把握する過程)をもとにして概念的サビタイジングを行うプロセスの存在や,そのプロセスには数の大きさや組合せが影響する可能性が示された。概念的サビタイジングは遊びでの経験を通して発達すると予想されるため,今後は遊びを通しての指導について検討する必要がある。

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© 2019 一般社団法人 日本保育学会
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