運動疫学研究
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Print ISSN : 1347-5827
原著
節電への認知・態度・行動・信念と身体活動との関連
荒木 邦子 原田 和弘塩田 琴美中村 好男
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2013 年 15 巻 2 号 p. 81-90

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抄録

目的:本研究は,節電に対する認知,態度,行動,信念のうち,どのような要因が週150分以上の歩行,中等度以上の身体活動(moderate-to-vigorous physical activity; MVPA)と関連するのかを明らかにすることを目的とした。

方法:調査方法は,首都圏および京阪神圏在住の20~79歳に対するWeb調査であった。2012年9月22日~25日の間に調査を実施し,1,650名の有効回答を得た。調査項目は,節電行動の規定要因(認知,態度,行動,信念),身体活動量は,International Physical Activity Questionnaire Short Version を用いて,歩行時間と中等度以上の身体活動(MVPA)を評価した。節電行動の規定要因と歩行時間(150分以上/週)およびMVPA(150分以上/週)との関連についてパス解析を行った。

結果:モデル適合度は,節電行動規定要因と歩行時間(GFI = 0.988, AGFI = 0.973, CFI = 0.969, RMSEA = 0.038),MVPA(GFI = 0.987, AGFI = 0.974, CFI = 0.968, RMSEA = 0.036),いずれも良好であった。節電に対する他者取組(0.14)の認知と電力不足に対する脅威感(0.08)は,歩行時間と正の関連性を示し,否定的項目の有効性評価(-0.13),気づき・学習(-0.15)は,歩行時間と負の関連を示した。節電行動(0.08)は,MVPA と正の関連を示した。

結論:節電への認知・態度・行動・信念と身体活動に関連が認められた。ただし,関連は弱く,仮説とは逆の関連が認められた節電行動規定要因もあり,今後更なる検討が必要と考えられた。

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© 2013 日本運動疫学会
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