運動疫学研究
Online ISSN : 2434-2017
Print ISSN : 1347-5827
原著
地域在住高齢者の身体活動および座位行動と転倒発生との関連:1年間の前向きコホート研究
北湯口 純鎌田 真光井上 茂上岡 洋晴安部 孝文岡田 真平武藤 芳照
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2016 年 18 巻 1 号 p. 1-14

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抄録

目的:地域在住高齢者の身体活動および座位行動が転倒発生の予測因子となるかを明らかにすること。

方法:本研究は自記式質問紙調査データを用いた1年間追跡の前向きコホート研究である。調査は,島根県雲南市に居住する60~79歳から無作為に抽出した3,080人を対象に2009年と2010年に実施した。 身体活動および座位行動は国際標準化身体活動質問票短縮日本語版を用いて評価した。ベースライン時に過去1年間に転倒経験がないと回答した1,890人を対象に,1年後の転倒発生を目的変数,ベースラインの中高強度身体活動量と座位行動時間を説明変数,性,年齢,BMI,教育年数,地域,主観的健康感,憂うつ感,喫煙,慢性疾患の既往,転倒恐怖感,腰または膝の慢性痛,痛みによる薬剤使用,痛みによる医療機関受診を共変量とするロジスティック回帰分析を行った。

結果:1年後の調査で163人(10.5%)に転倒が発生していた。多変量解析の結果,中高強度身体活動量と転倒に有意な関連は認められず,中高強度身体活動量の最低位群(0 MET-時/週)と比べて,中間位群(8.25~23.0 MET-時/週)の転倒発生の調整後オッズ比は1.72 (95%信頼区間0.98–3.02),最高位群(≥75.4 MET-時/週)では1.31(95%信頼区間0.75–2.29)であった。一方,座位行動時間と転倒発生には有意な関連が認められ,座位行動時間の最低位群(0~119 分/日)と比べて,最高位群(≥420 分/日)の転倒発生の調整後オッズ比は1.96 (95%信頼区間1.02–3.79)であった。

結論:地域在住高齢者において,中高強度身体活動は転倒と関連していなかったが,長時間の座位行動が高い転倒リスクと有意に関連していた。地域在住高齢者における転倒の予測因子として座位行動時間を評価することが重要である可能性が示唆された。

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© 2016 日本運動疫学会
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