運動疫学研究
Online ISSN : 2434-2017
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膝痛緩和のための通信型運動プログラム:日本運動疫学会プロジェクト研究“介入研究によるエビデンス提供”
畑山 知子 種田 行男
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2016 年 18 巻 1 号 p. 36-46

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抄録

我々は地域在住高齢者を対象として膝痛緩和のための通信型運動プログラム「楽ひざ体操」を開発し,その有効性をランダム化比較試験によって明らかにした。本資料論文では,日本運動疫学会プロジェクト研究「介入研究によるエビデンスの『つくる・伝える・使う』の促進に向けた基盤整備」の呼びかけに対し,膝痛緩和のための通信型運動プログラムのエビデンスを提供し,介入(プログラム)の一般化可能性を評価する枠組みであるRE-AIMの観点から検討した。本プログラムに参加した者は,対象地域で膝痛を有すると推察される高齢者の0.1%であった(reach)。本プログラムの情報を得たと考えられる対象も4%程度であり,多くの対象に提供可能な通信型プログラムの利点を活かすには改善の余地が残っている。一方,プログラム完遂率は84.1%,参加者の体操実施率は84.5%と高く,有効性(effectiveness)については教室(対面式)で実施した場合と変わらない効果量が示されている。本プログラムは体操マニュアルに従って各自で実施するため,実施精度(implementation)にはマニュアルの充実とともに,安全に提供するために運営マニュアルの開発や参加者からの問合せに対し専門的な助言を提供できるよう専門家との連携などが必要である。本プログラムの採用度(adoption)や維持度(maintenance)については今後の検証が必要である。以上のように,介入の一般化には課題が残されているが,比較的簡易に実施することが可能な膝痛緩和に有効なプログラムであり,積極的な活用が期待される。

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© 2016 日本運動疫学会
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