運動疫学研究
Online ISSN : 2434-2017
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転倒予防や認知機能向上のための運動プログラム“スクエアステップ”:日本運動疫学会プロジェクト研究“介入研究によるエビデンス提供”
重松 良祐
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2016 年 18 巻 2 号 p. 105-112

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抄録

筆者は共同研究者とともにスクエアステップ(SSE)という運動プログラムを開発し,ランダム化比較試験を含む複数の検討を通じて,転倒や認知機能に一定の効果があることを確認してきた。ある自治体の協力を得てこのプログラムを5年間普及したところ,ターゲットにした高齢者の11.3%に届けることができた。参加した高齢者はSSEの課題を達成することに関する満足感や脳の活性化といった効果を得ていた。長期にわたって継続できることも確認しており,4年経過時でもベースライン時の63%の高齢者が継続していた。彼らの転倒リスク要因はベースライン時と同程度か,それよりも有意に改善していた。高齢者だけでなく子どもでの効果や音楽を使った効果を検証する研究者も現れている。現在はSSEを普及する指導者の養成システムを構築し,国内の介護予防に繋げている。2015年末までに4,490人の指導員やリーダーを養成したこともあり,SSEは多くの自治体で介護予防事業に取り入れられている。また,国外にも広がっており,これまでに7つの国・地域で研究されたり,高齢者への運動プログラムとして導入されたりしている。このうち4つの国・地域で協会支部を立ち上げており,介護予防事業にSSEを導入している。残りの3つの国ではSSEの効果が検証されている。以上のことから,SSEは高齢者の転倒予防や認知機能向上という効果をもたらすだけでなく,継続しやく,また国内外で普及できるといえる。

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© 2016 日本運動疫学会
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