抄録
本稿は,親の会のセラピストの成長プロセスについて,初学者のセラピストを対象としたアンケート調査の結果にもとづき検討した。その結果,1年目と2年目のセラピストには,保護者心理の理解のあり方や,技術的な成熟に質的な差異が見出された。1年目のセラピストは,子育てに関係する保護者の心理的状態に着目し,「親の会」のプログラムのねらいに忠実に進行することを心掛けていた。一方で2年目のセラピストは,参加者同士の相互交流による保護者の心理的変容を感受し,グループダイナミクスに応じて柔軟に進行していた。これらの差異は,セラピストの観察範囲の拡がりによって,複数の保護者に注意を払えるようになったことが関係していると推測された。またセラピストの成長には,親の会の臨床実践とグループセラピーの理論が有機的に統合されるような教育的かかわりが必要だと考えられた。