近年では, 補聴器・人工内耳等の機器開発と医療・療育・教育領域の進歩により, 聴覚障害児者における聞き取りの向上や社会的なバリア, その支援の現状について注目されている. そこで本稿では, 日本と米国と英国, World Health Organization (WHO) の人口統計や政府統計・研究報告等を用いて, 難聴による, コミュニケーションのバリアと支援に関する法的背景と実態について紹介し, 同テーマについて展望することを目的とした. ろう/難聴児者にとって, 情報・コミュニケーションの制約は, ICF (International Classification of Functioning, Disability and Health) の生活機能の構成要素として, 幼児から高齢期の生活で重大な影響を及ぼすものと指摘されている. ICFの観点からも, 支援等に関わるリハビリテーション専門職は, 共生社会の構築に向けて, ろう/難聴児者の多様な情報・コミュニケーションのニーズに応じた, 社会的支援のあり方について理解が要請されていることが示唆される.