2024 年 25 巻 2 号 p. 34-45
抄録:本研究では,映画療法による吃音者の自尊感情,コミュニケーション態度,社交不安及び生活の全般的な質の変化について予備的に検討することを目的とした.18~28歳の吃音者3名を対象とし,ベースライン期として映画を鑑賞するのみの1回の実施を行った後,映画療法の介入を8回(2ヶ月間)実施し,ベースライン期前後,映画療法介入前,介入2週間後及び3ヶ月後の追跡評価を実施した.2名の参加者はコミュニケーション態度,生活の質及び社交不安の改善がみられ,1名の改善は3ヶ月後にも維持していた.質的評価からは,全員が自分の吃音に関する精神面や信念に良い影響をもたらしたことの報告が得られた.しかし,3名の背景と結果が異なることから,映画療法の有効性の背景には,様々な要因があることが想定される.吃音治療に位置付けるために,今後は背景要因の統制のもとで,症例の累積による詳細な検討が求められる.