宗教と社会
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論文
韓国系キリスト教会におけるエスニシティの多様化と組織的変容―新旧のコリアンの関係性を中心に―
荻 翔一
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2016 年 22 巻 p. 17-31

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抄録

本稿は、朝鮮半島にルーツをもつ人々が中心となって、日本で活動するキリスト教会(韓国系キリスト教会)を対象に、信者のエスニシティの多様化と組織的変容の連関を明らかにすることを目的とする。従来のコリアンの宗教を扱った研究は、コリアンの世代交代や日本人との関係の中で、その宗教の維持や継承、変容を捉えてきた。だが、来日の時期や経緯によって文化的背景が異なる新旧のコリアンの関係性が与える影響は見逃されてきた。調査対象とした教会は、1980年代以降、新旧のコリアンが混在するようになったため、信者の言語・文化的な性質が多様化し、宗教的ニーズの競合から両者のエスニシティが顕在化した。しかし2008年以降、両者がともに日本語で行う宗教的プログラムを必要とすることで一致したため、両者のエスニシティが潜在化した。本事例の考察から、コリアンの宗教は、新旧のコリアンの関係性からも大きな影響を受けうることを指摘する。

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