現代日本ではキリスト教徒でない多くの人々がキリスト教の結婚式を選ぶ。本論は、世界的に稀なこの現象を取り上げ、日本のカトリックとプロテスタントが「無宗教」社会と接触してきたそれぞれの態様を考察する。研究では、キリスト新聞、日本カトリック宣教研究所資料の他、婚礼業界紙、消費者情報誌等を用い、司式側の聞き取り調査、関連宗教団体、業界への問い合せによる検証を加え、分析する手順を採った。具体的には、2章でキリスト教式結婚式の普及とイメージ形成をまとめ、神前結婚式と比較して社会要因にふれる。3章で日本カトリック教会とローマ教皇庁の対応、4章でプロテスタント界に於けるキリスト教ブライダル宣教団の役割に焦点をあて、日本のキリスト教界のキリスト教式への関わりを分析する。総じて、現行のキリスト教式の普及に連動した、両キリスト教界の「無宗教」社会への特殊化した関わりを「対話」として論じる。