理学療法学
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研究論文
音叉を用いた振動覚検査による転倒予測の有用性
―地域在住高齢者を対象とした前向き研究による検討―
吉川 義之福林 秀幸高尾 篤竹内 真松田 一浩安川 達哉梶田 博之杉元 雅晴
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キーワード: 音叉, 転倒, 振動覚
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2010 年 37 巻 7 号 p. 470-476

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抄録

【目的】本研究の目的は,音叉を用いた振動覚検査で転倒予測が可能であるかを検討することである。【対象】認知症および中枢神経疾患を除外した,歩行が可能な当院外来患者,通所リハビリテーション利用者で6ヵ月間追跡調査が可能であった62名である。【方法】音叉を用いた振動覚検査とTimed “Up & Go” Test,10m自由歩行時間,Modified-Functional Reach Testの4項目を実施した。転倒は測定日より6ヵ月間追跡し有無を確認した。統計処理は,転倒の有無により転倒群と非転倒群に分け比較を行った。また,各検査についてはROC曲線からカットオフ値を求め,精度を確認した。【結果】測定後6ヵ月間に転倒した対象者は22名(転倒率:35.5%)であった。転倒群と非転倒群の比較では,すべての検査において非転倒群の成績が有意に優れていた。ROC曲線の曲線下面積では,振動覚検査が0.83で,他の検査と同等であった。振動覚検査のカットオフ値については5.5秒であり,感度は77%,特異度は68%,正答率は71%であった。【結語】音叉を用いた振動覚検査は,転倒予測の検査として有用であった。

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© 2010 公益社団法人 日本理学療法士協会
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