2012 年 39 巻 1 号 p. 7-13
【目的】急性期脳梗塞患者において回復期病院転院に関連する因子をあきらかにすることである。【対象】当院脳卒中センターに脳梗塞で入院した連続277症例のうち,退院先が自宅(自宅退院群, n=121)と回復期病院(回復期病院群, n=94)であった215例とした。研究デザィンは後ろ向き観察研究とし,社会的因子を含めた広範な項目を診療録より後方視的に調査した。【結果】自宅退院群に比べ回復期病院群では,同居者の有無や世帯構成人数などの患者背景には差が認められなかったが,機能障害,能力障害の低下が認められた。多重ロジスティック回帰分析による転帰先の関連因子は,最重症時 Nationai Institute of Health Stroke Scale (NIHSS),初回車椅子乗車時Ability for Basic Movement Scale II(ABMSII),高次脳機能障害,リハ開始時Barthel Indexであった。ROC曲線の結果から,転帰を判別するためのカットオフ値はMHSSで3.5点,ABMS IIで 21 . 5 点であった。[結論 】 MHSS の他,客観的な起居動作評価指標である ABMS 11 が,回復期病院転院を早期より予測することができる因子である可能性が示唆された。