2013 年 40 巻 2 号 p. 118-119
虚弱高齢者にも適応可能な体操として福島県喜多方市で考案された「太極拳ゆったり体操」が動脈硬化関連指標や身体組成に及ぼす効果を検討した。大阪府柏原市在住の60歳以上の健常高齢者47名を対象とし,前期介入群(以下,介入群)24名と後期介入群(以下,対照群)23名へ無作為に振り分け,介入/観察前と3ヵ月の介入後の各種指標を比較した。評価は動脈硬化関連指標(CAVI,ABI),身体組成,身体機能・能力,健康関連QOL等を測定した。結果,介入/観察後のCAVIについて,対照群では変化なかったが,介入群では有意に改善した(8.50±0.95→8.20±0.89,p<0.05)。身体組成については,介入群のみ脂肪量が有意に減少し,体脂肪率が低下した(p<0.05)。「太極拳ゆったり体操」の継続は健常高齢者にとって安全かつ積極的に実施しやすく,動脈硬化関連指標の改善にも有効であり生活習慣病予防にも効果的なプログラムに成り得ると考えられた。