2014 年 41 巻 5 号 p. 267-274
【目的】高齢大動脈弁狭窄症(Aortic valve stenosis:以下,AS)患者の術後心臓リハビリテーション(以下,術後心臓リハビリ)進行および身体機能について検討する。【方法】2010年4月より2012年10月の間に待機的に単独大動脈弁置換術を施行した65歳以上の高齢AS患者139例(女性61%,年齢77±7歳)を80歳未満の高齢AVR群86例,80歳以上の超高齢AVR群30例,経皮的大動脈弁置換術(以下,TAVR)群23例の3群に分類した。身体機能の指標としてShort physical performance battery(以下,SPPB),術後心臓リハビリ進行基準として,日本循環器学会のガイドラインに準じて,術後8日以内での100m歩行の可否を調査し,3群間で比較検討を行った。【結果】TAVR群は,他の2群に比べて,術後在院日数は同等も,術後心臓リハビリ進行遅延率が有意に高値であり,術前および退院時のSPPB得点が有意に低値であった(p<0.05)。【結語】TAVR群は,術前より身体機能が低下しているうえ,術後心臓リハビリ進行が遅延し,退院時身体機能も低値を示す。