理学療法学
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症例報告
足部配置戦略障害による歩行障害に対し急性期から速歩条件での歩行練習を実施した胸椎硬膜内髄外腫瘍の1例
石井 駿 深田 亮桑田 麻由子髙瀬 慶太古矢 丈雄牧 聡村田 淳
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2025 年 52 巻 2 号 p. 92-99

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抄録

【目的】足部配置戦略障害を呈する歩行障害に対し,急性期から速歩条件での歩行練習を実施した理学療法の経過について報告する。【対象】胸椎硬膜内髄外腫瘍手術例で足部配置戦略障害による歩行障害を呈した68歳の女性である。【方法】術翌日から4輪型歩行車歩行を実施したが,足部の接地が不規則となる足部配置戦略障害を認めた。足部配置戦略障害による歩行障害の改善を目的に,術後2日目から吊り下げ型体重免荷式歩行器歩行練習,12日目からトレッドミル歩行練習を開始した。【結果】足部配置戦略障害は改善傾向を認め,術後2週時に歩行は4輪型歩行車で自立した。術後3ヶ月時には独歩での屋外歩行を獲得していたが,術後6ヶ月まで立位姿勢制御の異常は残存し,階段昇降に手すりを要した。【結語】速歩条件での歩行練習は足部配置戦略障害による歩行障害の改善の一助となる可能性がある。

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© 2025 日本理学療法学会連合

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