理学療法学
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症例報告
離床基準に呼吸パターンの有用性が示唆された重症筋無力症クリーゼの一症例
菅野 恭平 若杉 樹史笹沼 直樹内山 侑紀児玉 典彦道免 和久
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2025 年 52 巻 2 号 p. 86-91

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抄録

【目的】呼吸筋を主とした筋力低下を呈した重症筋無力症(Myasthenia Gravis:以下,MG)症例に対して呼吸パターンの変化に着目して離床基準を設定し理学療法介入した結果,MG症状の増悪なく,自宅退院に至ったため報告する。【症例紹介】症例は40歳代の男性。MGクリーゼと診断されて入院し,内科的治療と並行し第2病日からリハビリテーション治療を開始した。非侵襲的陽圧換気療法中は,ストレッチや呼吸筋リラクセーションを中心に介入した。呼吸状態の改善がみられた第59病日より,過負荷に留意した離床基準を設定し離床を開始した。呼吸パターンは,グレイド評価法を用いて離床基準の一つとして設定した。呼吸状態の増悪なく入院前日常生活活動(Activities of Daily Living:ADL)を再獲得し,第103病日に退院した。【結論】呼吸パターンの評価は,クリーゼを呈したMG症例の離床基準の一つとして有用である可能性が示された。また,グレイド評価法は呼吸筋の改善を経時的に追うことができる簡便なツールであった。

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© 2025 日本理学療法学会連合

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