2025 年 52 巻 2 号 p. 71-78
【目的】急性期くも膜下出血患者の脳血管攣縮期における受動的立位時の脳血流動態について,超音波画像診断装置を用いて明らかにすること。【方法】急性期くも膜下出血患者13名に対してtilt tableを用いて60度head up tiltを実施し,経頭蓋カラードプラ法(transcranial color-coded sonography)で安静臥位および60度head up tilt時の脳血流動態を測定した。脳血流動態は中大脳動脈血流速度(収縮期,拡張期,平均),内頚動脈血流速度(収縮期,拡張期,平均),内頚動脈血流量および中大脳動脈/内頚動脈収縮期血流速度比を測定した。【結果】中大脳動脈平均血流速度は安静臥位時と比較して60度head up tilt時で有意に低下した。【結論】急性期くも膜下出血患者において60度head up tiltは脳血管攣縮を引き起こさないが,中大脳動脈平均血流速度を低下させる可能性がある。