論文ID: 11182
【目的】脳卒中後の嚥下障がいを呈する2 症例に対し,体幹および頸部筋・喉頭周囲筋への運動療法を実施し,嚥下障がいの改善を認めたため報告する。【対象と方法】2 症例は嚥下障がいのみならず喉頭挙上不全と体幹機能障がいを呈しており,1 症例目は矢状面での体幹機能の問題を有し,2 症例目は前額面での体幹機能の問題を有していた。それぞれ体幹機能障がいの特性が異なるこの2 症例に対し,症例の個別性に合わせた体幹機能向上練習を実施した。次に言語聴覚士と共同して頸部筋・喉頭周囲筋への運動療法および間接嚥下訓練を実施した。【結果】2 症例とも喉頭挙上運動の改善が認められ,嚥下障がいが改善した。【結論】脳卒中後の嚥下障がい者の中には,体幹機能の改善を基礎的条件とした喉頭挙上運動の再獲得を必要とする症例が存在すると推測された。体幹機能の獲得とともに喉頭周囲の協調運動を獲得することは,嚥下障がいを効果的に改善させるひとつの手段となる可能性が示唆された。