論文ID: 11843
【目的】本研究の目的は,皮質脊髄路(以下,CST)近傍に病変を有する脳卒中片麻痺者におけるCST および皮質網様体路(以下,CRT)損傷の程度と急性期病院転院時の歩行自立度の予後との関連について明らかにすることである。【方法】対象は,拡散テンソル画像(以下,DTI)の撮像がなされた脳卒中片麻痺者41 名であった。急性期病院退(転)院時のFAC から歩行可能/介助の2 群に分類した。初回評価時のSIAS の各項目と撮像したDTI パラメータからCST およびCRT 損傷の程度を測定し,歩行可能/介助を予測する因子をロジスティック回帰分析にて検討した。【結果】初回評価時のSIAS 股関節運動機能が急性期病院転院時の歩行可能/介助を予測する有意な因子であった。一方,歩行能力にかかわるとされているCRT は歩行予後を予測する有意な因子とはならなかった。【結論】急性期病院転院時の歩行予後を予測するうえで,下肢運動機能はCRT 損傷の程度よりも重要な因子であると考えられる。