理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
研究論文
下肢の運動戦略とFunctional Reach Test
足 · 股 · 踵上げ運動戦略の違いがFunctional Reach距離,重心の前後移動、重心動揺面積に及ぼす影響
対馬 栄輝對馬 均石田 水里長谷川 至大熊 克信
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2001 年 16 巻 4 号 p. 159-165

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抄録

本稿の目的はFunctional Reach Test(FRT)遂行における運動戦略(ストラテジ)の相違がFunctional Reach距離(FR距離)及び重心移動の要因にどのように影響するか確認することである。対象は健常者19名(平均年齢21.6±4.3歳)とした。FRTは股 · 足 · 踵上げストラテジ(股 · 足 · 踵上げFRT)の3条件で遂行させ,FR距離とともに重心の前後移動(前後移動),重心動揺外周面積(動揺面積)を測定した。その結果,FR距離は踵上げFRT,股FRT,足FRTの順にそれぞれ有意(p≤0.05)に大きく,前後移動,動揺面積はともに踵上げFRTが股FRT,足FRTより有意に(p≤0.01)大きかった。FR距離,前後移動、動揺面積の間の相関は有意でなかった。主成分分析の結果では主に前後移動を反映する成分(寄与率30.7%)と,FR距離と前後移動を分ける成分(寄与率25.4%)が挙げられた。踵上げFRTは前後移動や重心動揺も大きく,より高度な姿勢制御能力が要される特徴があった。また,同一のストラテジでFRTが行われる場合はFR距離と重心移動に有意な相関はあるといえないことがわかった。

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© 2001 by the Society of Physical Therapy Science
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