2002 年 17 巻 3 号 p. 149-156
高齢社会を迎えた我が国では,加齢に伴う骨粗鬆症や骨折に対する対策は,医療のみならず社会的にも重要な問題となっている。理学療法士として大腿骨頸部骨折の治療に携わるために必要な基本的な考え方にふれ,早期離床を目指した術後理学療法の進め方を紹介する。また,適切な治療計画を設定するための「機能的予後」に関する調査結果についても紹介する。今後は骨粗鬆症・転倒の予防への介入,大腿骨頸部骨折に対する術前からの早期理学療法の導入,さらには退院後の運動機能や生命予後などを含めた,高齢者の運動機能全般に対するアプローチの必要性が求められている。