2003 年 18 巻 3 号 p. 115-121
歩行用短下肢装具(AFO)の機能は,歩行中のどの時期にどの程度の大きさの制動モーメントを発生するかによって決まる。片麻痺者の装具歩行の分析により,片麻痺者のためにAFOに必要な機能について検討した。その結果,足関節底屈時には大きな制動モーメントを発生し背屈時には足関節が自由に動くAFOが必要なことがわかった。これらの機能を満たすことを目的として,油圧ダンパーを利用したAFOの開発を行った。油圧AFOの制動モーメントによって麻痺側接地時の衝撃吸収とともに立脚期における膝関節の動きをコントロールすることができる。油圧AFOでは制動モーメントの大きさを各片麻痺者に合わせて調節することができるため,特に身体状況の変化の大きい回復期片麻痺者の歩行訓練に適していると考えられる。ここでは,片麻痺者のためのAFOに必要な機能とAFOの機能が歩行に及ぼす影響について述べる。