理学療法科学
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Print ISSN : 1341-1667
研究論文
円背姿勢が呼吸循環反応ならびに運動耐容能に 及ぼす影響
草苅 佳子佐々木 誠
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2003 年 18 巻 4 号 p. 187-191

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抄録

本研究の目的は,健常人において操作的に作った円背姿勢で,姿勢変化による筋収縮様式を含めた,より円背を有する者に近い状態での運動負荷試験を行ない,円背姿勢が呼吸循環反応ならびに運動耐容能に及ぼす影響について,検討することである。健常若年女性9名を対象に,円背条件と無条件の2条件で,安静時の肺機能検査及び胸郭拡張差,運動時の呼吸応答,血圧,自覚的運動強度を測定し,比較した。その結果,円背条件では無条件と比較して安静時に酸素脈(O 2pulse),一回換気量(TV),酸素摂取量(VO2及びVO 2/kg)が有意に高かったが(p<0.05),運動peak時では逆に円背条件で無条件よりも有意に低値を示した(p<0.05)。各パラメ-タの運動による変化では多くのパラメ-タは運動によって有意に増加したが(p<0.05),拡張期血圧(DBP),二重積(RPP)は運動によって無条件では変化しなかったのに対し,円背条件で有意に上昇した(p<0.01)。以上より,円背条件では安静時に酸素需要を増大させ,運動時には必要となる生体の呼吸循環応答に不利に作用すると推察される。円背姿勢の改善が運動耐容能の低下を予防することに効果があると考えられた。

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© 2003 by the Society of Physical Therapy Science
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