抄録
筋線維伝導速度(MFCV)を詳細に調べる目的で正規化ピーク平均法(NPAT)を提案した。等尺性肘屈曲運動中の健常者10人から表面電極列で得た筋電図を,電極の位置が神経筋接合部付近の筋電図データ1と神経筋接合部から充分離れた筋電図データ2に分けた。さらに計算機シミュレーションでMFCVの分布を推定した。その結果,MFCV推定値において筋電図データ2は既存の報告とよく一致していたのに対し,筋電図データ1は異常に大きな値を示した。また,筋電図データ1上のMFCVは筋電図データ2よりも有意に広く分布していることが確認できた。これらのことより,NPATはMFCVの算出に有用で,詳しい筋活動の情報が得られる可能性を示唆した。