2005 年 20 巻 1 号 p. 1-5
健常人での手指の連続的対立運動における小脳の活動を,機能的MRIにて測定し,聴覚誘導を伴う随意運動時の脳内システムについて検討した。対象は健常成人9名で,課題は1秒間に1回の速度で連続的にタップする運動で,これを自発的に行う課題(自己ペース運動)とメトロノーム音を聞き,タップする課題(聴覚誘導運動)を行った。右手では自己ペース運動において,全例において右小脳の賦活を認め,聴覚誘導運動では9例中7例において賦活が減少し,1例で消失,1例は不変であった。左手では自己ペース運動においては9例中8例に小脳での賦活を認め,聴覚誘導運動において8例中6例において賦活が減少し,1例で消失,1例は増大した。以上の結果は,聴覚誘導により小脳の賦活が減少したことから,小脳のフィードフォワード制御としての機能を支持している。