2007 年 22 巻 1 号 p. 49-54
本研究の目的は3名の前十字靭帯損傷者(ACL損傷者)と3名の健常者における膝関節機能の違いを三次元動作分析装置と筋電計を用いた動作分析手法により明らかにすることである。階段降段時の膝関節伸展モーメントについては健常者とACL損傷者で傾向が一致していた。しかし,半腱様筋とヒラメ筋活動に関して健常者とACL損傷者では相違がみられた。半腱様筋の活動に関して比較すると,健常者は立脚後期の活動量が増大しているのに対し,ACL損傷者は立脚初期前半の活動量が増大していた。また,ヒラメ筋の活動量に関して,健常者は立脚後期に対する立脚初期後半の活動量の比率が小さいのに対し,ACL損傷者は立脚後期に対する立脚初期後半の活動量の比率が大きくなった。これらの結果は,半腱様筋とヒラメ筋が損傷したACLを補償していることを示唆した。