理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
原著
健常人における股関節外旋筋群が股関節屈曲に及ぼす影響
佐藤 香緒里吉尾 雅春宮本 重範乗安 整而
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 23 巻 2 号 p. 323-328

詳細
抄録

本研究では,股関節外旋筋群が股関節屈曲に及ぼす影響を検討することを目的とし2つの実験を行った。若年健常男女60名を対象とした股関節回旋角度の違いによる股関節屈曲角度の計測では,股関節内旋角度の増加に伴い股関節屈曲角度は有意に減少し(p<0.001),股関節外旋筋群の伸張が股関節屈曲を制限する因子として考えられた。新鮮遺体1体の両股関節後面各筋を切離するごとに股関節屈曲角度の計測と観察を行った結果,梨状筋と内閉鎖筋に著明な伸張が見られ,これらの切離後に股関節屈曲角度は顕著に増加した。梨状筋と内閉鎖筋は股関節外旋筋であることから,これらが股関節屈曲を制限している可能性があると考えられた。理学療法プログラムとして股関節屈曲可動域を拡大するときには,屈曲角度のみに注目せずに内旋角度にも注意を払う必要があると示唆された。

著者関連情報
© 2008 by the Society of Physical Therapy Science
前の記事 次の記事
feedback
Top