23 巻 (2008) 4 号 p. 545-550
[目的]ADL(Activities of Daily Living)が介助レベルにある脳血管障害者が,自宅へ退院するための要件を検討する。[対象]回復期リハビリテーション病棟に入院し,退院時FIM(Functional Independence Measure)総得点が90点以下の脳血管障害者51名。[方法]対象を自宅へ退院した群(自宅退院群)と,施設等,自宅以外へ退院した群(非自宅退院群)との2群にわけ,FIMの各得点,その他転帰に影響をおよぼすと考えられた変数について比較を行う。[結果]単変量解析の結果,自宅退院群では移動様式が歩行の者が有意に多く,入院期間も自宅退院群で長かった。また,FIMのセルフケア,排泄コントロール,移動,移乗,コミュニケーション及び社会的認知の6項目では移動を除く5項目で有意差が認められた。FIM下位項目では歩行・車椅子,階段,理解,記憶を除く14項目で有意差が認められた。ロジスティックモデルでは退院前外泊の有無(オッズ比5.8),移動様式(オッズ比4.9),FIM総得点(オッズ比1.1)の3因子が有意な変数として選択された。[結語]ADL能力の低い脳血管障害者が自宅へ退院するには,ADL能力が高いことに加え,移動様式が歩行であることと,自宅への退院前外泊が可能な状況にあることが大きな要因となっていることが示唆された。