理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
原著
視覚による運動錯覚が対側上肢のH反射に及ぼす影響
崎田 正博臼井 裕太太田 歩後藤 裕樹末石 菜津美松尾 仁紀松永 智行
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キーワード: , 運動錯覚, 最大H波振幅
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2009 年 24 巻 3 号 p. 375-379

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抄録

〔目的〕本研究の目的は,鏡を用いた一側上肢の運動時に視覚による運動錯覚によって対側上肢のα運動ニューロンの興奮性に影響を与えるか検討することである。〔対象〕対象は健常成人10名とした。〔方法〕課題は鏡あり・なし条件と一側上肢の手関節掌屈運動あり・運動なしを組み合わせた4条件で行った。各条件で記録した対側上肢の橈側手根屈筋(FCR)H波から最大H波振幅(Hmax)を抽出した。対応のあるt検定で2条件比較した。〔結果〕鏡なしでの一側手関節掌屈運動あり・運動なしでは運動なしの方が有意に低下した。鏡ありでの手関節掌屈運動あり・運動なしでは,有意差はみられなかった。手関節掌屈運動下では鏡あり条件が有意に増加した。〔結語〕視覚による対側上肢の運動錯覚が生じることで,対側上肢のα運動ニューロンの興奮性の低下を抑制することが明らかとなった。

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© 2009 by the Society of Physical Therapy Science
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