理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
原著
人工膝関節置換術後の可動域訓練開始日による膝関節可動性の相違
福島 浩史高橋 精一郎宮原 寿明
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2009 年 24 巻 3 号 p. 391-395

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抄録

〔目的〕人工膝関節置換術後1病日と2病日の可動域訓練開始日の違いによる膝関節可動性改善の差異の有無を検証した。〔対象および方法〕人工膝関節の機種,術者,術式が同一である対象者を無作為に1病日群15名と2病日群17名に分け,可動域訓練開始日以外は訓練内容・回数・量を統一して理学療法を3週実施した。〔結果〕膝関節他動屈曲角度,膝関節他動屈曲120度獲得日数,膝関節他動屈曲120度・130度・140度到達人数,膝蓋骨上縁最頂位周径,可動域訓練時疼痛の改善は2群間で有意差は認められなかったが,2群の膝関節他動屈曲角度,膝蓋骨上縁最頂位周径の改善と,2病日群の可動域訓練時疼痛の改善に有意差が認められた。測定項目すべてで,1病日群が2病日群に比べて改善が遅い傾向がみられた。〔結語〕可動域訓練開始日の違いによる膝関節可動性の改善には差がなかったが,1病日群の膝関節他動屈曲角度の増大が遅延したことから,1病日から訓練を開始する利点は認められなかった。現行2病日からの可動域訓練開始でも良い結果が得られ,本研究は,十分な検証もなく早期化が進む人工膝関節置換術後の理学療法に対する警鐘と捉えられた。

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© 2009 by the Society of Physical Therapy Science
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