理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
原著
杖の使用が呼吸・循環反応に与える影響
─高齢者擬似体験装具を用いた検討─
奥 壽郎廣瀬 昇加藤 宗規丸山 仁司
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2009 年 24 巻 3 号 p. 467-472

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抄録

〔目的〕体幹・下肢屈曲姿勢での歩行において,杖の使用が呼吸循環反応に与える影響を高齢者擬似体験装(以下,装具)を用いて検討することである。〔対象〕若年健常者11名(男性7名・女性4名,平均年齢19.1±0.8歳)を対象とした。〔方法〕装具を装着しないかつ杖も使用しない条件(以下,条件A),装具を装着して杖は使用しない条件(以下,条件B),装具を装着して杖を使用する条件(以下,条件C)の3条件により,トレッドミル歩行速度3.5 km/hで5分間の定常負荷を行い,呼気ガス分析,血圧,自覚的運動強度(RPE)を計測して,3条件間での比較検討を行った。〔結果〕条件Aより条件Bは,HR・VE・TV・VO2/W・SBP・RPEが有意に高値を示した。一方,条件Bより条件Cでは,HR・VE・TV・VO2/W・RPEが有意に低値を示した。条件Aより条件Cでは,SBP・RPEのみ有意に高値を示した。〔結語〕若年健常者が高齢者擬似体験装具を装着した上で杖を使用することは,杖を使用しない時よりも同一運動時の,呼吸循環器系への負担を軽減できることが示唆された。

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© 2009 by the Society of Physical Therapy Science
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