2009 年 24 巻 5 号 p. 733-736
〔目的〕発達期神経細胞に強く発現するPGP9.5抗体を用いて,PVL症例の大脳における発達を明らかにすることを目的とし,神経の可塑性と再生について考察した。〔対象〕慢性期PVLを認めた剖検ヒト脳組織15例(在胎24週から生後2歳1ヶ月)とした。〔方法〕PGP9.5抗体を用いて免疫組織化学的染色を行った。蛋白の発現を半定量的組織化学的に判定し,正常発達群との比較検討を行った。〔結果〕PGP9.5に対する免疫反応はPVLのタイプによって異なっていた。限局型における大脳皮質錐体細胞層ではPGP9.5陽性細胞は減弱していた。また,顆粒細胞層ではPGP9.5陽性細胞は増強していた。また,PVL病巣内部および周囲の大脳白質においてもPGP9.5免疫反応が増強して観察された。〔結論〕慢性期PVL症例における免疫反応増強は,損傷されたPVL病巣組織に代償する可塑性像と考えられた。