24 巻 (2009) 5 号 p. 745-750
〔目的〕本症例研究は,片側巨脳症により機能的左大脳半球切除術を施行した症例に対し,両上肢への他動運動が大脳皮質活動に及ぼす影響を,近赤外線分光法を用いて検討し,術後の麻痺の回復過程とあわせて考察した。〔対象〕生後6ヶ月の男児で,生後4ヶ月時に痙攣出現し,薬物療法の効果が少なく発達退行が見られたため,生後6ヶ月時に機能的左大脳半球切除術を施行し,理学療法を術後第4病日より実施した。〔方法〕術後第10病日,第20病日,第33病日の3回,近赤外線分光法near-infrared spectroscopyによる光トポグラフィ装置を用いた局所脳血流の変化,発達検査(遠城寺式発達検査法の上肢運動項目),運動機能評価を行った。〔結果〕右上肢他動運動による感覚運動刺激によって,同側の右大脳皮質感覚運動野の脳血流が経時的に増加し,併せて運動発達,および運動機能の回復も確認された。〔結語〕一側大脳半球障害がある場合,運動下行路は同側性(脳障害対側)に機能代償が生じるとされるが,感覚上行路も同様に,同側性求心路の機能代償がおこり,同側性支配の重要性を示した。