2009 年 24 巻 6 号 p. 887-893
〔目的〕目的課題の有無による動作パターンの相違を比較することで,課題に向かう場合では動作パターンが集約されることを明らかにする。〔対象〕健常成人11名と虚弱高齢者10名とした。〔方法〕背臥位からの立ち上がり動作を反復させた。その場で起立する条件と目的指向条件として起立後2 m先の目標物へ歩く2条件とした。実施順はランダムで反復目標回数を20回とした。ビデオ画像からVanSant(1988)の方法を基にして動作パターンの分類を行った。これらから目的指向動作における動作パターンの集約化や特徴点の検討を行った。〔結果〕健常群では目的指向条件において反復動作毎の動作パターンが毎回同じであった人数は減少し出現動作パターン数は増加したのに対し,逆に高齢群では前者は増加し後者は減少した。〔結語〕虚弱高齢群の目的指向動作に動作の集約化が認められた。このことから単純化した運動の分析ではなく,より具体的な目的指向型動作を分析していくことが実効力のある理学療法プログラムに重要である。