理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
原著
ラット膝関節拘縮モデルにおける大腿部筋間脂肪織の病理組織学的変化
松崎 太郎細 正博阪本 誠小島 聖渡辺 晶規吉田 信也
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2009 年 24 巻 6 号 p. 901-905

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抄録

〔目的〕関節拘縮の研究のほとんどは関節および筋の変化を調べたものであり,軟部組織である筋間脂肪織が関節拘縮によりどのように変化するのかを観察する事を目的に実験を行った。〔対象〕Wistar雄性ラット36匹を使用し,うち21匹を実験群として先行研究に倣って拘縮モデルを作製し,残りは対照群とした。〔方法〕実験期間は2週間とした。実験終了後,標本作製し筋間脂肪織の存在が確認された坐骨神経に隣接した部位を観察部位とし,脂肪細胞の萎縮・消失の程度を4群にわけ分類した。〔結果〕脂肪細胞の萎縮・消失を示した例が対照群では20%であったのに対し,実験群では71%を占めた。実験群では線維芽細胞の増生と幼弱なコラーゲン線維と考えられる好塩基性の無構造物ないし繊細な線維状物質が増加している組織像が観察された。〔結語〕ラット後肢膝関節を2週間不動化する事により,筋間脂肪にも著明な変化が観察され,この変化は軟部組織性拘縮の一端を担う可能性が示唆された。

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© 2009 by the Society of Physical Therapy Science
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