2011 年 26 巻 2 号 p. 323-328
「2007年度動脈硬化性疾患予防ガイドライン」では,動脈伸展性に対して,最大酸素摂取量の50%,30分以上の運動が推奨されている.しかし実際の臨床現場では,実施できない対象者が多く存在する.また実施が可能であっても,心肺系に対するリスクは高くなる.個々により最適,かつ安全な運動強度による処方を確立するために,動脈伸展性の改善が可能な運動強度の幅,つまり低強度負荷による動脈伸展性への影響を検討する必要がある.そこで本稿では,第2の心臓とも言われているヒラメ筋を有する下腿三頭筋の筋ポンプ作用が,低強度負荷でも動脈伸展性の改善要因である一回拍出量を静脈還流量という側面から効率よく増加できることに着目し,その概要についてまとめた.