2012 年 27 巻 1 号 p. 55-59
〔目的〕転倒リスク管理における振動覚検査の有用性を検討することである.〔対象〕地域在住高齢者50名とした.〔方法〕振動覚検査,Timed “Up & Go” Test (TUG),膝伸展筋力測定,転倒恐怖感・活動性の調査を実施した.転倒の有無により転倒群と非転倒群に分け,各項目の2群の結果を比較した.また,転倒恐怖感・活動性とその他の各検査との関連性を調べた.〔結果〕振動覚検査,TUG,転倒恐怖感は,転倒群に比べ非転倒群の成績が有意に優れていた.転倒恐怖感・活動性は,運動能力と有意な相関を認め,振動覚との相関はみられなかった.〔結語〕振動覚は,転倒恐怖感や活動性と関連性がなく,運動能力の高い高齢者の転倒リスク評価に有用であると示唆された.