2012 年 27 巻 1 号 p. 67-71
〔目的〕上腹部術後における咳嗽介助(AC)有無での咳嗽能力および創部痛への影響を比較し,その効果を明らかにすることとした.〔対象〕上腹部開腹手術を受けた24例とした.〔方法〕術前・術後1・3・5・7日目の計5回,肺活量(SVC)およびAC有無の咳嗽時最大呼気流速(PCF)と咳嗽時創部痛の程度を測定した.〔結果〕術後のSVC,PCFは術後1日目に最も低下した.PCF回復率とSVC回復率で有意な正の相関が認められ,安静時創部痛と咳嗽時創部痛もPCF回復率と有意な負の相関が認められた.また,AC併用の効果はPCFの増加や創部痛の抑制を認め,術後5日までのAC併用は効果的であった.〔結語〕ACは咳嗽能力低下した患者や創部痛を有する患者に有用であると結論した.