2012 年 27 巻 2 号 p. 217-221
〔目的〕肩外転時の肩甲骨運動動態を考案した肩甲骨位置測定法による肩甲骨位置変化量(変化量)によって検証した.〔対象〕肩障害のない成人26名とした.〔方法〕上肢下垂位,肩90°外転位,180°外転位での肩甲骨位置を測定し,3肢位の変化量を一元配置分散分析と多重比較法を用いて統計解析した.〔結果〕変化量は,肩甲骨下制および上方回旋で3肢位すべてにおいて有意差を認めた.さらに,肩甲骨内転は上肢下垂位と肩90°外転位との間で有意差を認めた.肩甲骨は肩90°外転で下制・内転・上方回旋し,最終域でさらに上方回旋することが明らかになった.〔結語〕本測定法はテープメジャーを使用し,肩甲骨運動を評価する簡便な測定法である.運動器疾患に対する理学療法評価としての応用が可能と考える.